農業施設
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47 巻, 4 号
第47巻第4号(通巻151号)
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 金 南昔, 植松 康
    2016 年47 巻4 号 p. 146-155
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,構造物に作用する風圧・風力の分布や大きさが構造物の形状に大きく依存するという性質を利用し,断面形状を従来の円弧型や切妻型ではなく,「翼型」とすることで抗力低減を図り,大スパンにも拘わらず耐風性に優れた鉄骨ハウスの開発を目的としている。まず,植松ら(2004)による既往の風洞実験結果との比較により,適切な数値流体計算モデルを明らかにした。次に,断面形状を規定する幾何学的パラメータを設定し,それらを広範囲に変化させ,各パラメータがハウスの風力特性(特に抗力係数)に及ぼす影響を数値流体計算によって明らかにした。さらに,その結果に基づき,内部での作業性や実用性も考慮し,抗力低減の観点から最適な断面形を提案した。なお,ここで想定した風向は妻面に平行な風向である。最後に,提案された断面形を有するモデル(スパン20 m,桁行長さ60 m)に対して数値流体計算と風洞実験を行い,断面形を翼型とすることによる抗力低減効果を検証した。
  • 梅田 大樹, 鈴木 真実, 岩﨑 泰永, 松尾 誠治, 杉原 敏昭, 澁澤 栄
    2016 年47 巻4 号 p. 156-161
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    閉鎖型環境管理において水利用効率の高い栽培方法を確立するための基礎的な知見を得ることを目的として,相対湿度が高い条件における風速制御がキュウリ幼植物の光合成と水利用効率に及ぼす影響について調査した。同化箱を用いた栽培を行い,風速条件を3水準(0 m s-1, 0.24 m s-1, 0.66 m s-1)設定したところ,0.24 m s-1 区および0.66 m s-1 区のキュウリの乾物重は0 m s-1 区と比べて有意に増加した。最も乾物生産が増加したのは0.24 m s-1 区であり,その際の平均相対湿度は92.1%であった。また,水利用効率は,0 m s-1 区と比べて0.24 m s-1 区および0.66 m s-1 区が増加した。以上より,閉鎖型環境管理で相対湿度が高い条件において風速を最適に制御することで,水分吸収量を最小限にして,光合成速度を向上できる可能性が示唆された。
  • 佐竹 隆顕, 𡈽方 享, 市川 道和, 小高 和博, 阪田 治
    2016 年47 巻4 号 p. 162-170
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    生物生産物資の輸送コストの低減を目的とする輸送(配送・集荷)経路の最適化問題に対して,確率的探索・学習・最適化の一手法である遺伝的アルゴリズム(GA)を援用し,輸送コストの中で特に全行程の燃料コストを最少とする最適輸送経路探索のための基本的なシミュレータを C 言語により開発した。近年のカーナビゲーション技術の進歩は著しいにも関わらず,実際の流通においては日々異なる配送や集荷といった輸送条件下の燃料コストに厳密に個別対応した輸送はほとんど行われていないのが現状であるため,GA に基づく最適経路探索の有効性の紹介および実用シミュレータ開発の知見を得るために,県単位の広域地域を対象として準備的な輸送経路探索シミュレーションを行った。シミュレーションの結果,空荷走行と配送走行では,燃料コストを最少とする輸送経路が異なるとともに,GA による探索結果の燃料コストの平均値は,比較検討のために行ったランダムサーチ(RS)による同コストの平均値に比べて安価となり,コスト削減効果が認められた。さらに,輸送量が同じ配送走行と集荷走行について解を比較したところ,最適輸送経路は異なっており,開発したシミュレータの燃料コスト削減に向けた機能が十分働いている事が明らかとなった。
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