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半固形状乳牛ふん尿をメタン発酵及び堆肥化で複合処理するためのスクリュープレスによる固液分離技術の開発
古橋 賢一 田中 章浩黒田 和孝
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2019 年 50 巻 1 号 p. 16-23

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抄録
近年,日本で増加しているフリーバーン牛舎からは,オガクズを比較的多く含む半固形状のふん尿が排出される。そのふん尿は堆肥化するには含水率が高く,さらに副資材を添加する等で水分調整を行う必要がある。また,湿式メタン発酵で処理するには,ポンプ搬送できない,発酵槽内でオガクズが沈殿する等の問題を解決する必要がある。そこで本研究では,半固形状のふん尿を対象とした湿式メタン発酵の前処理として,固形分は副資材の添加なしで堆肥化すると共に,液分は有機物濃度を向上させて効率的に発酵を行うための,スクリュープレス機による固液分離プロセスの導入を検討した。過剰な消化液発生を防ぐと共にポンプ搬送を可能にするため,ふん尿はメタン発酵消化液で予め懸濁させた。懸濁液の含水率上昇もしくは背圧の上昇に伴い,固形分含水率は低下し,堆肥化可能な含水率73.0 %以下まで容易に低下した。オガクズは固形分に大部分回収され,乾物分離効率は半固形状で79.3 %,スラリー状排せつ物で58.5 %となった。また,高 EC 溶液である消化液にふん尿を懸濁しても,固形分の電気伝導度は,30 %低下した。液分に関しては,固液分離後に VS 当たりの易分解性有機物の割合が40 %から79 %に増大すると共に,得られた液分にふん尿を再懸濁させて分離する工程を3回繰り返すことで,易分解性有機物濃度は2倍以上となることが明らかとなった。
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