農業施設
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50 巻, 1 号
第50巻第1号(通巻160号)
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 小島 陽一郎, 松山 裕城, 阿部 佳之, 宮地 慎, 天羽 弘一
    2019 年50 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,冬季の乳牛に温水を給与することで,飲水や乳生産に及ぼす影響を調査することである。フリーストール方式で24頭のホルスタイン種乳牛に対して,クロスオーバー法により,35 ℃程度の温水を給与した温水区,および対照区として無加温で10 ℃以下の水を給与した冷水区で試験をおこない,温水給与の効果を検証した。その結果,冬季の温水給与により,飲水量が9.9 %増加(p < 0.01),乳量が3.8 %増加し(p < 0.01),飼料摂取量及び乳成分に差がなかった。また,冷水区は,温水区に比べて,飲水回数が2.1倍多く,飲水時間が2.4倍長かった(p < 0.01)。以上より,温水給与により,飼料摂取量が増えることなく,短時間に少ない飲水回数で飲水量が増えるとともに,乳量も増加することが示された。
  • 金 南昔, 真崎 智亮, 植松 康
    2019 年50 巻1 号 p. 7-15
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本報では,金ら(2016)が提案した「翼型断面を有する鉄骨ハウス」(頂部高さ5.7 m,軒高それぞれ3.5 m,2.0 m,間口20 m,奥行60 m)を対象とし,側壁面に意図的に開口(隙間)を設けることで内圧を制御し,曲げモーメント(ここでは,柱・梁フレームの肩部および頂部に着目)の低減効果について検討を行った。まず,風洞実験により,想定した開口位置における多点外圧の時刻歴を測定し,内圧をシミュレーションで計算した。次に,シミュレーションで得られた内圧の時刻歴と風洞実験で得られた外圧の時刻歴を組み合わせてフレームに作用する風力の時刻歴を求め,二次元フレーム解析を用いフレーム部材に作用する応力を算定した。様々な側面開口幅,フレーム位置,風向に対するシミュレーション結果に基づき,各パラメータが内圧並びにフレームに作用する曲げモーメントに及ぼす影響を系統的に把握するとともに,曲げモーメント低減の観点より,両側面における最適な開口幅の組合せを示した。具体的には,実寸大で軒高の高い方の開口幅を30 mm,低い方の開口幅を40 mm とすることで,フレームに作用する最大曲げモーメントを閉鎖型に対し約20 %低減できることが示された。
  • 古橋 賢一, 田中 章浩, 黒田 和孝
    2019 年50 巻1 号 p. 16-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,日本で増加しているフリーバーン牛舎からは,オガクズを比較的多く含む半固形状のふん尿が排出される。そのふん尿は堆肥化するには含水率が高く,さらに副資材を添加する等で水分調整を行う必要がある。また,湿式メタン発酵で処理するには,ポンプ搬送できない,発酵槽内でオガクズが沈殿する等の問題を解決する必要がある。そこで本研究では,半固形状のふん尿を対象とした湿式メタン発酵の前処理として,固形分は副資材の添加なしで堆肥化すると共に,液分は有機物濃度を向上させて効率的に発酵を行うための,スクリュープレス機による固液分離プロセスの導入を検討した。過剰な消化液発生を防ぐと共にポンプ搬送を可能にするため,ふん尿はメタン発酵消化液で予め懸濁させた。懸濁液の含水率上昇もしくは背圧の上昇に伴い,固形分含水率は低下し,堆肥化可能な含水率73.0 %以下まで容易に低下した。オガクズは固形分に大部分回収され,乾物分離効率は半固形状で79.3 %,スラリー状排せつ物で58.5 %となった。また,高 EC 溶液である消化液にふん尿を懸濁しても,固形分の電気伝導度は,30 %低下した。液分に関しては,固液分離後に VS 当たりの易分解性有機物の割合が40 %から79 %に増大すると共に,得られた液分にふん尿を再懸濁させて分離する工程を3回繰り返すことで,易分解性有機物濃度は2倍以上となることが明らかとなった。
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