抄録
2019年9月に関東地方を縦断した令和元年房総半島台風(台風第15号)によって,千葉県では360億円以上の温室被害が発生した。温室の配置条件が被災パターンや被災時の気流に及ぼす影響を明らかにするために,パイプハウス団地および連棟ハウスを対象に現地調査を行った。その調査結果に,既往の台風(平成26年台風第18号)に関して実施していた調査結果を補足し,並列配置されたパイプハウスおよび連棟ハウスの被災メカニズムを明らかにした。パイプハウス側面の転倒は,風上側側面に作用した正圧が原因であった可能性が高い。一方,風下棟における負圧は,骨組み構造を浮き上がらせた。同じく風下棟における屋根の陥没は,気流の再付着が原因であった。縮流による気流の増加は,局所的な破壊を発生させた。さらに,防風ネットの設置方位,パイプハウスの筋交いの追加,鉄骨ハウスの基礎の適切な埋設等,今後の台風対策の留意点を抽出することができた。