抄録
食品製造では,暗褐色の廃水のような食品系バイオマスが大量に排出される。このような食品系バイオマスを再利用する際,着色成分の除去が求められることが多いが,従来の生物学的処理では脱色は困難である。そこで生物学的処理にかわる物理化学的処理法の一種として電気化学酸化法による脱色を検討した。着色成分としてカラメルおよびメラノイジンを対象とした電気化学酸化実験を実施し,電流強度,塩化ナトリウム濃度,初期色度が脱色性能とエネルギ消費に及ぼす影響について検討を行った。電流強度の増加に伴い処理速度は大きくなり,脱色性能は向上した。一方で,電流強度の大きい条件では消費エネルギが増大した。塩化ナトリウム濃度が増加するにつれて脱色性能は向上した上,消費エネルギは減少した。したがって,塩化ナトリウム濃度の制御により消費エネルギを削減しうる脱色プロセスを構築できることが明らかになった。