抄録
N町のカントリエレベータ (CE) の近傍に設置されたパイプハウス群は, 台風等により2年連続で風害をうけた。しかしながら, その他の周辺地域のハウスは被災しなかった。そこで, このCEとハウス群を対象として, ハウス表面の風圧力, CEとハウス群の風速分布, 防風施設の効果等を検討するために風洞模型実験を行った。その結果, CEがハウス群に対して風上に位置する場合, 最もCEに近い棟周辺で負圧が大きくなることが明らかとなった。また, 風速分布の測定結果から, CEがハウス群の斜め風上に位置する風向において, ハウス群の風上部の1~3棟付近が10%~20%の風速増加領域に入っていることが明らかとなった。この対応策として, 両者の敷地境界に防風板を設置した場合の効果を検討したが, 板高さがハウス棟高以下では, あまり効果は見られなかった。これに対し, CEの位置をハウス群位置に対して30m遠ざけた場合, CEが風下のハウス群に及ぼす影響がほとんどなくなることが明らかとなった。