農業施設
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30 巻, 2 号
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  • 豚糞からのアンモニアの揮発率と発生量
    福重 直輝, 川西 啓文, 森嶋 博, 宮野 則彦, 都 甲洙
    1999 年30 巻2 号 p. 111-116
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は豚糞の含水率により変化するアンモニアの揮発率を定量化した。豚糞を20℃, 30℃, 40℃の気温下に置き, その糞からのアンモニアの発生量を測定し, 前報の豚糞のアンモニアの揮発率CAに1を代入した値から求められる発生量との比から揮発率CAを求めた。
    その結果, 豚糞の含水率および気温と豚糞のアンモニアの揮発率の間には相関関係が認められた。また, 前報で求められた豚糞のアンモニアの物質伝達率と本論文での揮発率から豚糞からのアンモニアの発生量を推定した。
  • 豊田 裕道, 森山 英樹, 筒井 義冨, 佐瀬 勘紀, 奥島 里美, 岡本 佳久, 小林 宏康, 瀬能 誠之, 前川 孝昭
    1999 年30 巻2 号 p. 117-126
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    N町のカントリエレベータ (CE) の近傍に設置されたパイプハウス群は, 台風等により2年連続で風害をうけた。しかしながら, その他の周辺地域のハウスは被災しなかった。そこで, このCEとハウス群を対象として, ハウス表面の風圧力, CEとハウス群の風速分布, 防風施設の効果等を検討するために風洞模型実験を行った。その結果, CEがハウス群に対して風上に位置する場合, 最もCEに近い棟周辺で負圧が大きくなることが明らかとなった。また, 風速分布の測定結果から, CEがハウス群の斜め風上に位置する風向において, ハウス群の風上部の1~3棟付近が10%~20%の風速増加領域に入っていることが明らかとなった。この対応策として, 両者の敷地境界に防風板を設置した場合の効果を検討したが, 板高さがハウス棟高以下では, あまり効果は見られなかった。これに対し, CEの位置をハウス群位置に対して30m遠ざけた場合, CEが風下のハウス群に及ぼす影響がほとんどなくなることが明らかとなった。
  • 包装材料を用いたプレウェッティング処理の冷却特性
    中島 教博, 伊庭 慶昭, 柏嵜 勝, 湯口 泰治
    1999 年30 巻2 号 p. 127-135
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ダイコンのような野菜はほとんど真空冷却できない。本来, ダイコンには冷水冷却のような予冷方法が最適と考えられるが, わが国では冷水冷却はほとんど行われていない。そこで本研究では現行の真空冷却法のわずかな改良だけでダイコンを効果的に冷却する方法の開発を試みた。すなわち, 真空冷却に効果的に働くプレウェッティング処理方法を見いだし, その処理方法による冷却効果, ダイコンの太さや冷却時間に対する冷却特性について検討した。その結果, 包装材料に水分を含んだ紙布巾を利用して真空冷却したとき, 十分な冷却効果が得られることが判明した。
  • 鈴木 啓太郎, 前川 孝昭
    1999 年30 巻2 号 p. 137-144
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    食品の製造および加工段階における衛生管理として, 食品に対する微生物汚染防止策が重要である。ここでは, 発芽玄米製造時の微生物制御法について検討した。特に, 食品添加物としての次亜塩素酸ナトリウムおよびかき殻焼成カルシウムによる玄米の殺菌処理, 紫外線照射による浸漬水の殺菌処理および活性炭-中空糸膜型ろ過装置による浸漬水のろ過処理の効果を検討した。発芽工程開始後1時間での浸漬水の一般生菌数は, 玄米の未殺菌処理区が104CFU/mlであったのに対し, 0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液10分間の殺菌処理では102CFU/ml, 0.1%かき殻焼成カルシウム懸濁液10分間の殺菌処理では102CFU/ml, それぞれ2logオーダーの除菌効果が得られた。さらに, 発芽工程中における曝気水の玄米浸漬タンクへの循環 (エアレーション・ステージ) および高温脱酸素処理水の循環 (ノンエアレーション・ステージ) を経過した貯水タンクでの浸漬水への紫外線照射は, 浸漬水中の微生物の増殖を抑制した。発芽工程を通して, 紫外線を連続照射した時が最も一般生菌数が低く, 102CFU/ml以下で推移した。貯水タンクでの浸漬水の活性炭-中空糸膜型ろ過装置によるろ過処理は, ろ過後の浸漬水の濁度値に減少が見られ, 紫外線の透過度が改善できた。
  • 矩形面に対する88kg豚の形態係数と肥育豚の形態係数特性
    蓑輪 雅好
    1999 年30 巻2 号 p. 145-156
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    周囲物体に対する豚体の形態係数を豚体形状に基づいて解明するために, 肥育後期に相当する体重が88kgである豚の立位におけるサーフィスモデル (9304個の三角形パッチで構成した3次元多面体グラフィックスモデル) を用い, 矩形面に対する88kg豚の形態係数を数値計算で求めた。
    形態係数計算値の百分率誤差は2%以下すなわち精度は有効数字3桁以上であることが, 形態係数総和則と誤差伝播法則から推定できた。豚体の側面, 正面, 背面および天井面に位置する矩形面に対する88kg豚の形態係数算定図を, 豚体中心 (豚体の全長, 最大幅, 最大高さそれぞれの中点) から矩形面までの距離と矩形面の大きさを変数として提示した。同様に, 豚の蹄部底面が接触している矩形面と蹄部底面よりも下方に位置する矩形面に対する形態係数算定図を提示した。これらの形態係数は豚体の3次元形状を十分に反映していると判断できた。
    88kg豚の形態係数と前報までの27, 65kg豚の形態係数を比較検討した結果, これらの形態係数における大小関係は矩形面の位置によって異なり, 必ずしも27kg豚の形態係数が最小で, 88kg豚の形態係数が最大ではなかった。また, 豚体中心から2m以上離れた側面に位置する矩形面に対する形態係数は, 体重すなわち豚体の大きさに関係なくほぼ一定であると推察できた。さらに正面, 背面, 天井面, 床面および豚体中心から2m以下の側面にそれぞれ位置する矩形面に対する形態係数は豚体の人きさによって異なると推察できた。
  • 籾かさ密度の変化が測定に与える影響
    李 再貴, 藤木 徳実, 内田 進, 永田 雅輝
    1999 年30 巻2 号 p. 157-161
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    穀物水分のセンサーとして, 高周波コイルが有効であることを前報で報告した。本報ではその応用に向けて, 籾かさ密度の変化が測定に与える影響を検討した。籾のかさ密度とコイルのインダクタンスの間にほぼ直線的な関係がある。水分28.4%の籾ではかさ密度が0.55g/cm3から0.73g/cm3まで増えると, インダクタンスは0.043mH増加した。籾水分が高いほど, 圧密により, かさ密度が変化しやすいため, インダクタンスの変化がやや大きいことが分かった。かさ密度と水分を変数としてインダクタンスを重回帰式で表現し, 各種の密度条件下で水分を推定できることが分かった。インダクタンスの計算値と実測値の標準誤差は0.0015mH, 相関係数は0.97であった。
  • 佐竹 隆顕, 古谷 立美, 南 善行
    1999 年30 巻2 号 p. 163-171
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    遺伝的アルゴリズム (GA) を援用した飼料の多目的配合設計の端緒として, 成鶏飼育用, 肉豚肥育用および肉用牛肥育用の3種の配合飼料の同時最適配合設計を試みた。
    共通飼料原料としてコーン, マイロ, 脱脂米ヌカなど12品目, また栄養組成および栄養価の指標として粗蛋白質, 可消化粗蛋白質, 可消化養分総量など6項目を選択抽出する一方, これら飼料原料や栄養組成などの制約条件のもとで3配合飼料の各飼料原料コストを同時並行的に最小化する多目的配合設計を可能とするよう前報で報告したGAを改良し, シミュレーションを行った。
    配合設計にあたり十分量の飼料原料が準備されている場合, 飼料原料の内のコーンおよびコーングルテンフィードの使用量に制限や取り合いがある場合など計7種類のシミュレーションを行った結果, 本研究で改良開発した多目的遺伝的アルゴリズムは様々な条件下において3配合飼料の同時最適配合設計を実現する可能性をもつことが明かとなった。
  • 佐竹 隆顕, 古谷 立美, 太田 芳彦
    1999 年30 巻2 号 p. 173-184
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    共同選果包装施設や予冷・保冷施設をはじめとする農業施設の建設予定敷地内の最適配置設計問題に対して, ヒューリスティックアルゴリズムの一つであるシミュレーテッド・アニーリング (SA) を援用した合理化施工支援のための基本プログラムをC言語により新規に作成するとともに, 実用プログラム開発の知見を得るための準備的な配置設計シミュレーションを行った。
    配置設計上の制約条件とした施設と敷地内トラックヤードないしは道路との重なり程度, 施設の出入口と同トラックヤードの距離, および各施設の図心間の積算距離などを総合的に評価するコスト関数に基づいてシミュレーションの解の評価を行った。
    また, 同じく組合せ最適化問題の解法の一つである山登り法 (HC) による最適解と比較検討を行った結果, シミュレーテッド・アニーリングによるコスト評価値は平均で約100低減するとともに解のばらつきも抑えられており, 局所的最適解に捕らわれにくいシミュレーテッド・アニーリングの長所が認められた。
  • 小綿 寿志, 佐藤 義和, 干場 信司
    1999 年30 巻2 号 p. 185-191
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    実規模アイスポンドシステムを用いて行ったバレイショ長期貯蔵実験におけるエネルギー収支を解析した。製氷システム成績係数は20, 冷房システム成績係数は1.7で, 製氷から冷房までを通したサイクルシステム成績係数は1.4となり, 現行の電気冷房機に比べて省エネルギーな冷房が実現されることが明らかになった。製造した氷の保存時において氷の融解に関わる熱負荷の内, 氷の上面からの侵入熱が全体の約50%を占めた。バレイショを6月末まで貯蔵することに限定した利用を想定した場合には, 製造した氷のもつ潜熱の約50%を冷蔵庫の冷房に利用できると推定された。
  • 戸次 英二
    1999 年30 巻2 号 p. 193-203
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    穀物乾燥装置の運転コストを計算するのに,「穀物水分1kgの乾減に要するエネルギ量 (MJ/kg-水)」は必須のパラメータである。本資料はこれに関連する基礎的事項を検討した上で, 既往の国内外の文献から数値をひき出し, 整理したものである。種々の穀物に対する平均値は, コラム乾燥機の高温乾燥で5.51MJ/kg-水, 貯蔵乾燥ビンの低温乾燥で3.65MJ/kg-水, 除湿乾燥で1.78MJ/kg-水であった。籾に限っては, それぞれ5.69, 3.77, 1.84MJ/kg-水であった。著者がカントリエレベータ (以下, CEと略称) の調査で得た3.75MJ/kg-水は低温乾燥の範囲に相当した。
  • 森山 英樹, 豊田 裕道
    1999 年30 巻2 号 p. 205-214
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    実際に被災した施設について, 施設構造の被災状況と気象データを調べて雪害の要因抽出を試みた。降水時の気温が0℃前後である場合に, 雪害を引き起こす可能性の高い降雪となることを明らかにした。また被覆材がほとんど破れずに, 骨組みパイプで曲げ破壊を生じていることが明らかになり, 構造解析に必要な境界条件や破壊プロセスの一部を把握することができた。低コストと耐雪性を両立させるためには, 気象条件と施設構造 (骨組み, 被覆材強度) などによって被災要因をきめ細かく分類し, 必要最小限の雪害対策を検討していく必要がある。
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