抄録
‘アーウィン’マンゴーの品質と呼吸活性に与える熱の影響を知るために温水処理と蒸熱処理を行った。沖縄産の‘アーウィン’マンゴー (平均質量412.3±39.0g) を47.2℃の温湯中へ60, 90と120分間浸けた (温湯処理), また中心部温度46.5℃に10, 20と30分暴露した (蒸熱処理)。果実温度が46.5℃に達するまでに温湯処理では90分, 蒸熱処理では150分を要した。温湯処理の加熱速度は蒸熱処理の加熱速度より速かった。熱処理により呼吸速度が増加したが, 暴露時間が長くなると呼吸速度は減少する傾向にあった。クライマクテリック呼吸のピークは蒸熱処理では3日後に, 温湯処理では4日後に現れた。14日間の貯蔵中のマンゴーの呼吸商は0.92から1.05の間にあり, 熱処理の影響は認められなかった。‘アーウィン’マンゴーは温湯処理で90分すなわち中心部温度が46.5℃に達するまで加熱すること, 蒸熱処理では中心部温度を46.5℃に30分保持することで, 外観上の熱傷害や果実の商品性を損なうことなく処理が可能であった。熱処理は日本, 合衆国やその他の国へ輸出するために植物防疫上から必要とされている。