2009 年 39 巻 4 号 p. 279-284
本研究は食品廃棄物のコンポスト化反応特性を明らかにすることを目的に, 中温域および高温域における材料pHの影響を検討した。その結果, 酸性材料では反応が停滞した。一方, アルカリ性材料では反応は停滞せず, 70℃付近まで速やかな昇温が確認され, 高い分解率を示した。このプロセスの違いは, 中温菌はアルカリ性および酸性下のどちらでも増殖可能であるのに対し, 高温菌は酸性下では増殖が困難であり, 中温菌から高温菌への菌相遷移が妨げられるためである。また, 酸性かつ55℃で増殖可能な耐酸性高温菌が見い出されたが, アルカリ性材料で出現する高温菌ほどの有機物分解は期待できない。