抄録
ヒト血清内α1antitrypsinは,種々の疾患で増加することが知られている.しかし増加したα1ahtitrypsinが生物学的活性を有するか否かについては,なお十分検討されていない.著者らはヒト血清内α1antitrypsinがtrypsinと1:1のモル比で結合し電気泳動上で陰極側に易動度を示すことを明らかにした.しかもこの反応が生物学的活性を有するα1antitrypsinの特性であることを知った.この反応を応用して,ヒト血清内α1antitrypsinのtrypsinとの結合モル比を算出することにより生物学的活性を有するα1antitrypsin量を求める方法を案出した.この方法により炎症・癌などの血清では非活性型のα1antitrypsinがかなり存在することを明らかにした.