生物物理化学
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マウス赤血球SODの精製と性質
片山 和信
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1985 年 29 巻 3 号 p. 211-215

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抄録

マウス赤血球からスーパーオキシドジスムターゼ (SOD) を精製しその性質を調べた. 赤血球を有機溶媒処理後, ゲル濾過とイオン交換クロマトグラフィーで精製したSODはポリアクリルアミドゲル電気泳動で2本の主泳動帯と3本の副泳動帯に分離されたが, それぞれの泳動帯は活性染色と一致した. このSOD活性帯は全てKCNの阻害を受けたためCu,Zn-SODと考えた. SDS電気泳動とゲルクロマトグラフィーから, このCu,Zn-SODは32,000の分子量を有し, 16,000のサブユニットからなる2量体と推定した. 紫外部吸収曲線とPAS染色の結果からチロジン, トリプトファン, 糖含量が非常に少ないことが示唆された. 凍結乾燥処理により易動度の遅いSODの泳動帯が出現した. これは凝集したSODの可能性がある. マウス赤血球Cu,Zn-SODはすでに報告されているホ乳動物のそれときわめて類似した構造と化学的性質を持っていた.

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© 日本電気泳動学会
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