生物物理化学
Online ISSN : 1349-9785
Print ISSN : 0031-9082
ISSN-L : 0031-9082
尿細管性蛋白尿の電気泳動分析
免疫反応による泳動成分の同定
奥山 和美菅野 浩下条 文武荒川 正昭
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 29 巻 6 号 p. 349-354

詳細
抄録

尿細管性蛋白尿例としてファンコニ症候群患者の尿を, 低分子領域の分離能の高いSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ, 免疫学的手法を用いて泳動成分の同定を行った. 14C-フォルムアルデヒドとソジウムシアノボロハイドライドを用いる還元メチル化によって14C標識した尿試料に, 種々の抗血清とS. aureus 菌体を加えてそれぞれ得た沈殿を, 14C標識尿試料と並行泳動させフルオログラフィーで検出した. 14C標識尿試料のフルオログラムは, 尿試料の銀染色泳動像に類似した. 67K, 52K, 42K, 28K, 25K, 22K, 16.7K, 8.9K, の分子量をもつ主要なバンドのうち, アルブミン (67K), α1-酸性糖蛋白質 (42K), α2-ミクログロブリン (28K), レチノール結合蛋白質 (22K), β2-ミクログロブリン (8.9K) が同定された. 還元処理した試料の泳動では, β2-ミクログロブリンは11.2Kの分子量を示した.

著者関連情報
© 日本電気泳動学会
次の記事
feedback
Top