生物物理化学
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低コリンエステラーゼ血症例における変異遺伝子の解析
前川 真人須藤 加代子Dilip Chandra Dey小谷 一夫石川 仁子泉 正和臼田 多佳志菅野 剛史
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1994 年 38 巻 3 号 p. 201-208

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抄録

14人の血清コリンエステラーゼ(CHE)活性の低値例の遺伝子異常について検索した. これらの症例は, DN, FNがいずれも正常対照とほぼ同等であったので, サイレント型遺伝子を有する可能性が示唆された. PCR-SSCP, 塩基配列決定を行った結果, コドン24のCからT (Thr から Met) が2例, コドン365のGからC (Gly から Arg) が2例, コドン330のTからA (Leu から Ile) が3例, コドン119のCからT (Gln から Stop) が1例, コドン515のCからT (Arg から Cys) が3例の計11例に5種のミスセンスもしくはナンセンス変異が見いだされた. またKバリアントについてはホモ接合体が3人, ヘテロ接合体が8人見いだされた. 14例の低CHE血症例の中で, Kバリアントも含めると全例に遺伝性変異の関与がみられたため, 遺伝性変異は低CHE血症の原因として重要なものであり, 検査データの判読にあたって, 遺伝性変異の存在を深く認識する必要があると考えられた.

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