生物物理化学
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過粘稠度症候群を呈した異常IgAの免疫化学的特性
井本 真由美山本 和彦篠原 兵庫櫻林 郁之介秋山 利行尾鼻 康朗古田 格大場 康寛椿 和央堀内 篤
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1995 年 39 巻 1 号 p. 5-12

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抄録
今回われわれは, 凝固異常を伴う過粘稠度症候群の1例において, 37℃以下の低温で患者血漿をゲル化させるIgA1-λ型M蛋白をみいだし, その免疫化学的特性について検討した. その結果, 患者異常IgAと特異的に結合し, ゲル化を起こしていたのはフィブリノゲンであることが確認され, 高分子化したIgA-フィブリノゲン結合物が, 過粘稠の原因であることが証明された. この異常IgAの, α鎖およびλ鎖には分子量的な欠損を認めなかったが, 正常IgAとは異なる糖鎖をもつことが証明された. フィブリノゲンとの結合様式は, 温度依存性, 可逆性であることから非共有結合によるものであると考える. アミノ酸配列の解析結果より異常IgAは, 正常IgAとは異なるアミノ酸配列あるいは, 立体構造の異常部位をもつことが示唆され, これらの異常がフィブリノゲンとの結合に関与しているものと推定された.
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© 日本電気泳動学会
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