1996 年 40 巻 4 号 p. 199-206
髄膜炎においてBCBの障害度を評価するために, 髄液および血清中の分子量の異なるIL-6, Alb, CRPおよびα2Mを選び測定した. BCBにおける蛋白の透過率は, Alb, CRPおよびα2Mと分子量の小さい順に高く, とくに髄液CRP濃度は血中濃度に影響された. 髄液α2Mは, BCBの障害が存在するときに異常高値を示し, HPLC ratio, α2M index および髄液細胞数と高い相関性を認めBCBの障害度をよく反映した. 髄液CRPは, 細菌性髄膜炎でウイルス性髄膜炎より高値を示したが, 髄膜炎を合併しない細菌感染症でも上昇を認めた. 上述の所見より, 髄液CRPおよびα2Mの測定は, 細菌性髄膜炎, 髄膜炎を合併しない細菌感染症, ウイルス性髄膜炎などの鑑別に有用であった. 髄液IL-6は髄膜炎の急性期において上昇し, その活動性をよく反映していた.