生物物理化学
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PAG電気泳動のLDL分画像から捉える変性LDLについて
小西 奎子松原 弘和佐々木 久雄
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2002 年 46 巻 2 号 p. 115-120

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抄録

PAG電気泳動のLDL分画像から変性LDLを捉え, 加齢に伴う変化や糖尿病や動脈硬化性疾患との関係について検討した. LDLの分画像の形状を, S, A, N, Dの4型に分類し, IDLやレムナントを含むN型とD型を重視した. また, LDL分画像のピークおよびLDL分画の最も速い移動部位の相対移動度から small LDLと fast β-Lpの有無を捉え, この3点を変性LDLの所見とした. LDL分画像で捉えるものとRLP-Cとは異質であり, 酸化LDLはN型・D型と fast β-Lp の異常分画に存在した. N型・D型と fast β-Lp の増加には加齢に伴う変化が観察され, 特に40歳代と50歳代との間に大きな有意差を認めた. 加齢に伴う同様の変化はT-CやLDL-Cにおいてもみられるが, その変化よりも顕著であった. 若年者 (中学2年生) のLDL分画像は, N型とD型が少ないのに対し, fast β-Lp は50歳代と同等以上の高い陽性率を示し, 酸化LDLも fast β-Lp と同様の傾向を示した. 若年者の酸化LDLは主として fast β-Lp に存在し, 成人で増加するN型・D型に存在する酸化LDLとは異質であろうと考えられた. 糖尿病のLDL分画像は, 蛋白尿 (+) 群では, N型とD型が多く, 健常者に対しても, 蛋白尿 (-) 糖尿病群に対しても有意差を認めた. 50歳代健常者と比べ, 動脈硬化性疾患群にはN型・D型と small LDLが有意に多く, fast β-Lp 陽性も増加していた.

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© 日本電気泳動学会
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