生物物理化学
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コレステロール分画・トリグリセライド分画同時解析法を用いた変性LDL出現の疾患別検討
大井 絹枝
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2002 年 46 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

コレステロール分画・トリグリセライド分画同時解析法を用いて, 虚血性心疾患, 動脈硬化を起こしやすい糖尿病・腎疾患, 脂質異常を高頻度に認める肝疾患・悪性腫瘍・膠原病の計6疾患群の脂質分画と変性LDLを疾患別に比較検討した. 変性LDLの出現率は, 腎疾患で最も高率で, 高脂血症のみならず正脂血症や低脂血症でも高率であった. 脂質項目の平均値を, 高脂血症と正脂血症に分けて変性LDL陽性例と陰性例を比較すると疾患による特徴を認めた. 変性LDL陽性例では, 高TG・低HDL-C・IDLの出現は高率であったが, 高LDL-Cの出現では陰性例と差を認めなかった. CHDでは, 低HDL-Cが高率で, 陽性例では93%出現した. 糖尿病では, TCおよびTGが高値で, IDLの出現が高率であった. 高脂血症表現型は, 変性LDL陽性例でII b型・IV型が多くII a型は少なかった. 以上の結果, 脂質分画と変性LDLの出現は疾患により異なり, 本法により脂質分画の詳細を把握することは臨床的に有用であった.

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