日本化粧品技術者会誌
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界面制御機能を有する新規両親媒性高分子の特性と応用
大谷 直子小柳 綾子植田 有香坂本 一民吉岡 正人
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2009 年 43 巻 4 号 p. 247-253

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抄録
加水分解シルクタンパク質とアルキル基,シリコーン鎖を融合した両親媒性高分子である新規のハイブリッドポリマーの界面における性質および機能性を評価した結果,界面を形成するどちらの相にも実質的に溶解せず,多様な界面の性質を制御することを見出した。そこで,このポリマーをActive Interfacial Modifier(AIM-FN)と名づけた。具体的な機能として,まず,液体と液体の界面制御機能である乳化があげられる。AIM-FNは簡易な撹拌で,非極性油から極性油,シリコーン油など,幅広い油性成分を用いてW/Oエマルションを調製することができた。このとき,AIM-FNは水相にも油相にも相溶しないため,その間で独立した第3相を形成し,両相の異なる性質を制御し,安定化していると考えられる。次に,固体と液体の界面制御機能として撥水性・耐水性機能を確認したところ,AIM-FNは親水性のペプチドを有しているにもかかわらず,代表的な疎水性物質であるジメチコンに近い,高い撥水性・耐水性を示した。また,AIM-FNを用いると,他の乳化剤とは異なり,油性感やべたつきの少ない処方を実現することができた。これは固体と固体の界面制御特性ととらえることができる。
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© 2009 日本化粧品技術者会
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