日本化粧品技術者会誌
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最新号
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総説
  • 分部 孝範
    2021 年 55 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    サンスクリーン剤に使用される有機紫外線吸収剤は,より効果的な紫外線防御を目指して光安定性,UVA防御による光老化防止,水相防御機能などの開発・改良がなされてきた。また,水にも油にも難溶な固体の有機紫外線吸収剤を微粒子状に加工し,水分散体とした紫外線吸収剤も開発され,吸収・反射・多重散乱のトリプルアクションによる紫外線防御も実現している。性能,効果に加え,近年では安全性や各国における規制への対応など,サステナビリティの観点からも幅広いニーズを満たすことが求められている。有機紫外線吸収剤に関する規制動向についても述べる。

原著
  • 遠藤 雄二郎
    2021 年 55 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
    ジャーナル 認証あり

    顔の皮膚老徴には,シミ,シワ,たるみなどがあげられるが,特に加齢とともにたるみやほうれい線の悩みを抱える女性の割合は増加していく。これらの原因は真皮より深い組織の変化が関わっていることが明らかになっている。深部組織に働きかける手法はこれまでにも行われてきたが,侵襲性や利用者の簡便性の課題から日常美容として導入することが難しかった。そこで,これらの課題を解決すべく口腔内からの物理刺激に着目し,ヒトおよび細胞での効果検証を行った。振動刺激を加える器具と伸展刺激マッサージの方法を開発し,ヒトでの短期効果を確認したところ,見た目にほうれい線が薄くなることがわかった。同様の刺激方法を用いて継続効果を確認したところ,見た目および内部マトリックス密度の改善が見られた。さらに真皮線維芽細胞に対する刺激効果を確認したところ,コラーゲン産生が促進されることが示唆された。これらのことから,今回開発した物理刺激方法はほうれい線改善に有効であることが示された。本手法は既存施術方法と比較して低侵襲かつ簡便であるため,一般生活者が日常のケア方法として導入できる新しいエイジングケアの美容法になり得ると考えている。

  • ─ Hybrid Bicontinuous-Microemulsion-Type Foamy Makeup Remover ─
    Kei Watanabe, Namiko Sakurai, Takashi Meno, Chihiro Yasuda, Shigeo Tak ...
    2021 年 55 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
    ジャーナル 認証あり

    It is known that the basic value of a makeup remover is its ability to remove makeup and deliver the resulting feeling of freshness. Additional consumer needs that are being addressed to supplement and heighten the product experience include putting no burden on the skin during removal, not dripping during use, being easy to wash off, and not needing to be followed up with face wash. It has been assumed that a foamy makeup remover would be a strong candidate to address all these issues. However, a foam-type remover has been impossible to create previously since makeup contains a considerable amount of hydrophobic solids, such as hydrophobized powders, waxes, and hydrophobic film formers. These ingredients, as well as the oily substances from makeup removers, which are necessary to sufficiently remove makeup, break up the foam by intruding into its membrane. We have succeeded in hybridizing an anion/amphoteric surfactant mixture into a bicontinuous microemulsion (BME) phase, which is known to have an excellent ability to remove makeup. The solution forms dense foam by dispensing it from a pump foamer, achieving a highly effective foam-state makeup remover for the first time. Furthermore, we found an interesting phenomenon whereby makeup is spontaneously dissolved upon contact with the foam-state remover. This phenomenon seems to be caused by moderate foam breaking upon contact with makeup, leading to a supply of surfactant molecules from the air/remover interface to the makeup/remover interface, followed by a flow of water, resulting in makeup removal. By this novel function of foam, achieved by the foam-state BME phase, a novel makeup remover that fulfills all the consumer needs listed above was successfully developed.

  • 中野 詩織, 能勢 柚, 谷田貝 友洋, 梶野 しほり, 引間 理恵
    2021 年 55 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    化粧品の使用感において,肌に触れる感覚は非常に重要である。しかし,化粧品の感触評価は総合的印象としての静的な評価手法が主流であり,塗布中の感触変化を塗布と同時に動的に評価する手法はあまり行われてこなかった。本研究では,手元に化粧品を塗布している間に経時的に変化する感触の傾向を捉えるために,飲食品の分野で活用されているTemporal Dominance of Sensations(TDS)法の適用を検討した。われわれの手法では,評価者の塗布動作や触知覚を阻害しないために,化粧品を塗布しながら,モニタ上に提示された感覚特性項目へ視線を向けることで,各時点で印象の強い感触を選択,評価できるようにした。本実験の評価品を評価するための感覚特性用語は,デプスインタビューで集めた用語と塗布中感触の当てはまり度を因子分析した結果から選定された。本手法を用いて,手元へ塗布中の感触におけるサンプル間の違いを可視化できた。評価者はTDS法の練習を行ってから本評価に臨んでおり,塗布中に感触特性が出現した順序は3試行中平均で約2試行一致し,評価者内の再現性も認められた。これらの結果より,化粧品の時系列官能評価法としてのTDS法の活用可能性が示された。

  • 浅井 健史, 山﨑 陽一, 谿 雄祐, 飛谷 謙介, 山元 裕美, 長田 典子
    2021 年 55 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    「感性」の可視化により,ユーザーが潜在的に重要と捉える因子を把握し,物理計測値から感性を予測することを目指した。まず,ユーザーの心理構造をモデル化した結果,ふきとり化粧水の使用感触,特にふきとり動作時の触感に由来する2因子「肌摩擦感」および「ふきとれた実感」を潜在的に重要と捉えていることが示唆された。次に,ふきとり動作時の触感について,摩擦力に着目した物理量との関係を検討した。動摩擦係数の観点では,2因子を個別に評価できないのに対し,触感形成に作用する振動成分の特徴量との関係を解析したところ,特定の周波数領域のパワースペクトル密度から2因子を独立して予測できることが分かった。これを予測指標として用いることで,従来は成し得なかった,ふきとり時の触感が優れたふきとり化粧水の感性評価を可能とした。

  • 佐野 智生, 白江 航, 尾本 百合子, 長嶋 慎一, 森垣 篤典, 柿澤 恭史, 池西 岳樹
    2021 年 55 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    猛暑日の増加などの環境的要因や,エチケット意識の高まりなどの心理的要因により,ニオイだけでなく,汗を抑える効果が高い制汗剤のニーズが高まっている。制汗効果向上に向け,制汗成分クロルヒドロキシアルミニウム(ACH)の制汗メカニズムに着目し,従来技術とは異なるアプローチとして,ACHのゲル化促進技術の開発を目指した。ACHは低pH領域では水に溶解した状態で存在するが,汗腺で汗と反応し,pHが上昇することでゲル化する。われわれはより低いpHで多くのゲルが生成されることが,制汗効果向上に繋がると考え,ACHのゲル化pHに影響を与える共存成分を探索した。その結果,汗中に含まれる無機酸によって,ゲル化pHが低下することを見出し,さらに探索を続けた結果,無機酸の中でも硫酸イオンが最もゲル化pHを低下させることを明らかとした。硫酸イオン共存下で,制汗効果を測定した結果,ACH単独に比べ,有意に向上することを新たに見出した。硫酸イオン共存下では,汗のpH領域におけるゲル生成量の大幅な増加,またSAXS測定より,密なゲル構造体の形成が示唆され,汗孔の閉塞性が向上したことで制汗効果が向上したと推察された。

短報
  • Junichi Mori, Xiao Ling, Yoshitaka Yamaguchi, Naoko Yoshida, Eriko Inu ...
    2021 年 55 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    To obtain insight into the relationship between blood capillaries in the skin and aged appearance, we developed a novel microscope for observing the capillaries in the forefront of the skin, the papillary dermis. The new device utilizes a carefully designed skin contact apparatus that controls the local flow of blood, enabling quantitative observation of the capillaries in the papillary dermis of facial skin, as well as other parts of the body. We observed and quantified capillaries on cheeks of 34 healthy female volunteers in their 20s to 50s, and found that the areal number density of capillary loops shows a decreasing trend with age. Statistical analysis of the relationship between the areal number density of capillary loops in the papillary dermis and cutaneous properties was conducted. Dullness factor, wrinkle factor, and net elasticity were found to be significantly correlated with the areal number density of capillary loops. From these results, we presumed that these capillaries play a critical role in preventing aged appearance. In order to search for materials with capillary formation potential, we established a novel co-culture in vitro system consisting of human umbilical vein endothelial cells (HUVECs) and mesenchymal stem cells (MSCs). From screening of materials in our in vitro system, we found tripeptide-1 as a novel active ingredient that stimulates capillary formation.

  • 松尾 一貴
    2021 年 55 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2021/03/20
    公開日: 2021/03/20
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    ポリオールが油水界面における界面活性剤の結晶構造に及ぼす影響を明らかすることにより,好感触かつ,安定性に優れた,新しいクリームクレンジング製剤を開発した。近年クレンジング化粧料に求められる品質として,「メーク落とし効果」と「洗浄後の適度な保湿感」があげられる。クリームクレンジング製剤は,多量の油滴が少量の水相に分散したO/W型エマルションであり,水や保湿剤の配合への自由度が高いことから,上記2つの要望品質を満たすことに適した製剤であると考えた。しかし本製剤は,低温で保管されるとシェアよって分離するという課題があり,界面科学的な検討が行われてきたが解決できていない。そこで筆者は,製剤における油水界面の結晶化挙動を分析することにより,低温での不安定化メカニズムを解明し,安定な製剤を開発する検討を行った。広角X線回折測定において,不安定化した製剤は,低温で油水界面の結晶構造がα型からβ'型へ多形転移し,その結晶性が高くなることが明らかとなった。疎水性の高いポリオールを活用することにより,低温での多形転移および,結晶化を抑制することが可能となり,製剤を安定化できることを明らかにした。

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