日本化粧品技術者会誌
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原著
  • 坂西 裕一
    2020 年 54 巻 1 号 p. 2-14
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    化粧品には,使用感や安定性の改善などのさまざまな目的のために多くのゲル化/増粘剤が利用されている。水溶性の増粘・ゲル化剤はその種類も多く広く使われているが,オイルに溶液に添加できる増粘・ゲル化剤は圧倒的に少ない。これら既存のオイルゲル化剤は,固体に変化させる(=ゲル化)ことはできるが,流動性を保持しながら高粘度化させる(=増粘)ことは困難である。また既存のオイルゲル化剤は,増粘できるオイルの種類が限定的あり,増粘するためにある程度多くの添加量が必要になるなどの欠点がある。そこで今回,多くの種類のオイルを少量の添加で増粘でき,しかも増粘したときに透明にできるようなまったく新しいオイル増粘剤を開発した。その増粘剤分子の設計においては,非対称構造の導入による親油性の調整が重要な役割を果たしていることを見出した。この新たなオイル増粘剤はパラフィン油やエステル油などの幅広い種類のオイルに適用可能であり,さまざまな化粧品の感触を改良し得るものである。

  • 松尾 真樹, 川田 純平, 作山 秀
    2020 年 54 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    女性の社会進出に伴いメイク落としにも簡便性が求められ,アウトバスで使用できるクレンジングローションが普及してきている。一方,ローション剤型はコットン使用による摩擦感を感じやすく,耐水性化粧料に対するクレンジング機能は他剤型ほど期待できなかった。本特性は界面活性剤の性能によるところが大きいため,クレンジング機能向上と摩擦低減を両立できる界面活性剤の設計が望まれた。そこでわれわれはポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)類に着目し,表面張力を指標としたPGFE 類のスクリーニング,製剤への安定配合およびその機能評価を行った。その結果,市場品で想定される配合量域において,PGFE の一種は従来の洗浄成分よりも低い表面張力を示し,さらに興味深いことに,スクリーニングにより得られた2 種のPGFE を特定の配合比率で併用した混合系は,単一成分系よりも低い表面張力を示した。また,PGFE の製剤安定化には,多価アルコールおよび補助界面活性剤の併用が有効であることがわかった。得られた製剤は従来製剤と比べてクレンジング機能が高く,摩擦感を低減でき,かつ保湿効果も高いことが確認された。

  • 勝山 智祐
    2020 年 54 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    シニア層の肌光学特性に基づいた化粧品の開発を目的に,肌色の特徴および皮膚内部の散乱特性について調べた。頬下部,頬中央,目じり,顎裏の測色を行い,マンセル空間における色相,明度,彩度を求め,同一人から測定された4点を色相明度次元,彩度明度次元にプロットし,近似直線を求めた。色相明度次元における各人の近似直線の傾きに注目し,世代間で比較したところ,若年層では,傾きが緩く,色相の変化に対して明度がほとんど変化しなかったのに対し,シニア層では,傾きが急で,色相が赤みになると明度が低下していた。明度低下には,スリット光照射からの反射パターン解析により,皮膚内部の等価散乱係数の減少が関与していることが示唆された。

  • 奥野 凌輔, 田中 浩, 長谷川 靖司, 中田 悟
    2020 年 54 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    IGF-1(インスリン様成長因子1)は細胞の増殖や分化にさまざまな役割を果たしている。皮膚においてはケラチノサイトの増殖促進効果や線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果,分解抑制効果などを有することがしられている。加齢によってIGF-1 の産生量が減少することによりIGF-1 の機能発現が低下することはよくしられているが,IGF-1 を受容する細胞側の加齢変化は十分には明らかになっていない。そこで本研究では,皮膚細胞におけるIGF-1 機能調節能の加齢に伴う変化を検討した。老化した細胞においては,IGF-1 を添加してもケラチノサイトの増殖促進効果,線維芽細胞におけるコラーゲンの代謝変化誘導効果は低下した。また,いずれの細胞でも,IGF-1 の機能を抑制することが報告されているIGFBP-4(IGF 結合タンパク質4)の発現量が老化によって有意に増加した。さらに,IGFBP-4 をIGF-1 と同時に各細胞に添加するとIGF-1 によるケラチノサイトの増殖促進効果,線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果,分解抑制効果がいずれも抑制された。以上の結果から,加齢によりIGF-1 の機能発現が低下する原因の1 つとして,IGF-1 を受容する細胞側におけるIGFBP-4 産生の増加を介したIGF-1 シグナリングの低下が考えられた。

短報
  • 田中 一平, 林 絵美子, Cynthia Qi, 堀越 俊雄
    2020 年 54 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    ペースト状洗顔料は,一般的に脂肪酸塩が高濃度に配合されており,アニオン活性剤含量としては他の洗浄系製剤と比較して高く,刺激や肌荒れのリスクが高い剤型と考えられる。本研究では脂肪酸塩の配合量を減らすことによる肌に対する効果と,低脂肪酸ペースト状洗顔料の処方設計について検討を行った。ミリスチン酸カリウム水溶液による洗浄前後の角層を調べたところ,ミリスチン酸カリウムの濃度が低いと,角層水分量低下率が抑制されることが確認された。各増粘性高分子の脂肪酸塩水溶液に対する増粘挙動を調べた結果,特定の(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーが優れた増粘効率を示すことを見出し,この増粘性高分子を用いた脂肪酸配合量18%の低脂肪酸ペースト状洗顔料を作成した。この低脂肪酸洗顔料は,洗浄時の使用感を十分に満足させながら,角層水分量の低下を少なくすることが確認された。

  • ─長期電気シェーバー使用者と安全カミソリ使用者の肌─
    久留戸 真奈美, 菅沼 薫
    2020 年 54 巻 1 号 p. 48-58
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    男性の顔面皮膚は,皮脂量は多いものの同年代女性に比べてキメが粗く乾燥していることに加え,加齢とともに皮膚色が赤黒くなるという男性特有の加齢変化を示す。これは男性のヒゲ剃り習慣が大きく影響していると考えられる。そこで,本研究は,長期間電気シェーバーと安全カミソリのいずれかのみを毎日使用している20代と50 代の2つの世代の顔面皮膚を調査することで,ヒゲ剃り習慣による長期的な皮膚への影響を推測することを目指した。あわせて,被験者自身の肌状態,スキンケアなどのアンケート調査を実施し,男性の顔面皮膚の加齢と,ヒゲ剃り,スキンケア等の関連を考察した。調査の結果,20代と50代の肌を比べると,50代の肌は赤黒くなるだけでなく,頬からアゴ下にかけて多くの色素沈着が見られた。これは,ヒゲ剃りダメージの大きさを示している。一方,アンケート調査では,紫外線対策を含めてスキンケアを怠っている男性が多数であった。日本人男性の顔面皮膚は,「ヒゲ剃り習慣」と「スキンケアの怠り」が長期に渡った結果,男性特有の加齢変化を起こしていると考えられる。

  • 西澤 泰地, 堀江 亘, 大樂 左知子, 木田 尚子, 清野 綾子
    2020 年 54 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/20
    ジャーナル 認証あり

    これまでの研究により,動きのある顔の年齢印象には,頬部が重要な領域であること,また,表情の表出に伴う頬部の「高輝度領域(=白トビ)面積の変化」および「毛穴周辺の線状(=スジ)形状量の変化」が,加齢とともに増加することが明らかとなっている。これらの知見をもとに,本研究では真顔から表情形成状態に変化した際の,頬部の見え方を向上させるメークアップ料の開発を試みた。まず,表情表出時の高輝度領域面積と毛穴周辺の線状形状量の変化を低減させる化粧膜を設計した。皮膚の動きに追従できる柔軟な被膜形成剤と,光の正反射を抑制し,肌の凹凸に対して補正効果を有する光拡散粉体を選定し,高輝度領域面積と毛穴周辺の線状形状量の変化に及ぼす影響を評価した。本報では,これらの結果について報告する。

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