日本化粧品技術者会誌
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ドライバインダーを用いた3Dパウダー化粧料の開発
渡辺 英明高橋 和久熊谷 重則
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2010 年 44 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
近年,粉体固型化粧料は多種多様となり,多色成型や立体表面をもったさまざまなものが開発されている。これら特殊な成型を行うためには高度な成型技術が求められており,バインダーも,オイルやワックス,超微粒子などさまざまな種類のものが利用されている。しかしながら,これら粉体固型化粧料は“ケーキング”といわれる表面が硬くなりそれ以上使用できなくなる現象をしばしば生じ,感触と使用性,成型性を両立することは困難だった。本研究では,医薬品の打錠成型技術に用いられている花弁状ケイ酸カルシウム(P-CS)の化粧料用バインダーとしての応用を,動摩擦係数測定による感触評価,オルゼン硬度測定によるバインダーとしての有効性,粉体の取れ量測定による使用性によって検討した。その結果,粒径を10μmに制御したP-CS(10)が,1)柔らかく滑らかな感触をもつ,2)ケーキングを起こしにくい,3)広い硬度範囲で取れ量を一定にできる,ことを見出した。さらには,これら特性を利用することによって,複雑な表面形状をもちつつ,使用性,感触に優れた3Dパウダー化粧料を開発することに成功した。
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© 2010 日本化粧品技術者会
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