日本化粧品技術者会誌
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独立成分分析法を用いた肌色ムラの実態解析
井上 弥生西島 貴史小島 伸俊風間 治仁岩田 佳代子
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2011 年 45 巻 3 号 p. 218-224

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抄録

しみやソバカス,ニキビなどに代表される肌色ムラは,日本人女性の肌悩みの上位を占め,化粧品や美容医療分野で重要な研究対象となっている。本研究では,肌画像からメラニン成分画像とヘモグロビン成分画像に分離できる独立成分分析法を用いて,10代から70代の日本人女性201名の顔面におけるメラニンムラの実態解析を行った。その結果,しみとは異なる,薄く,境界が不明瞭なメラニンムラが地肌に広がっている様子が観察された。頬部における「地肌のメラニンムラ」の目立ちスコアは,年齢と有意な正の相関が認められた。また,「地肌のメラニンムラ」は,加齢にともない,頬上部から頬下部 (口元やあご) にまで範囲が広がることが明らかとなった。さらに,中高年女性特有の肌悩みである「肌のくすみ」が「地肌のメラニンムラ」と強く関係していることがわかった。以上のことから,「地肌のメラニンムラ」は,「肌のくすみ」の新たな評価軸となり,美白製剤の有効性評価に役立つと考えられた。

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© 2011 日本化粧品技術者会
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