抄録
官能特性用語である“なめらかさ”は女性がイメージする美しい肌のキーワードの一つである。本研究では,見た目の肌の“なめらかさ”の構成を解明することを目的に,消費者意識調査,専門家による目視評価,皮膚生理パラメーター計測を行い,多面的に検討した。意識調査では,なめらかな肌に対するイメージの因子構造を調べた。その結果,自身の肌がなめらかであると感じている群となめらかでないと感じている群では,因子構造の相違がみられ,なめらかな肌に対するイメージが異なることが明らかになった。目視評価と皮膚生理パラメーターの計測実験を行った結果,目視評価でのなめらかさスコアは,うるおいなどさまざまな肌状態のスコアと相関がみられ,特にキメの整い感との関係が強いことがわかった。皮膚生理パラメーター計測では,見た目のなめらかさがある肌は,弾力性があり,キメ形状が整っており,くすみがなく透明感のある美しい肌のような光学特性をもつことが示された。本研究から,肌の“なめらかさ”はさまざまな肌状態と密接に関係することが判明し,中でも「キメ」が“なめらかさ”を説明するキーワードとして重要であることが明らかとなった。