抄録
これまでX線を用いたマイクロCTを用いて,前処理などを施さないインタクトな状態で毛髪内部構造の観察を試みたが,感度が低く詳細な構造観察には至らなかった。本研究において走査型X線微分位相顕微鏡を用いたCT観察を実施したところ,高い感度で毛髪内部の構造観察を実施できた。パーマ処理では,毛髪コルテックス部位でミクロンサイズの微細空隙構造が生じる変化が観察され,さらにキューティクルを形成するスケールの間に細長い空隙ができる様子が観察できた。一方,ブリーチ処理ではキューティクルのスケール間に空隙は形成されず,スケール構造が不明確となる変化が観察された。これらの変化は,パーマ処理あるいはブリーチ処理による毛髪損傷の新しい側面を提示しているように見受けられた。