抄録
毛髪は損傷を受けることで, その物性が大きく変化することが知られている。そのため, 毛髪損傷の解明, 毛髪物性の測定など様々な検討が行われてきた。毛髪損傷について, 組成成分研究から, ブリーチ, パーマなどの化学処理を行うことで毛髪組成成分のタンパク質・脂質などが流出し, 物性の変化に関連することが見出されている。しかし, 毛髪損傷により, 「どこがどのように変化するのか?」に関する課題は, 毛髪組成成分の研究だけでは解明できない。そこで放射光を利用した構造解析, 蛍光X線やXANESを用いた元素・化学マッピングから毛髪損傷について検討したので報告する。