日本化粧品技術者会誌
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原著
細胞間脂質の構造に着想を得たセラミド高配合化粧水の開発
塚本 大介山下 美香黒木 純子須藤 充人早瀨 はるな中沢 寛光加藤 知紺野 義一
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2021 年 55 巻 3 号 p. 249-254

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抄録

細胞間脂質の主要構成成分の1つであるセラミドは,角層のバリア機能において重要な成分であり,スキンケア製品に配合する上で有用な成分である。しかし,セラミドは結晶性が高く油分の少ない化粧水剤型には配合が困難であった。われわれはセラミドが細胞間脂質内で他の脂質と平板なラメラ構造をとることに着目し,同じく平板な構造をもつ分子集合体“バイセル”を用いることで,セラミドを安定かつ高濃度に化粧水へ配合できるのではないかと仮説を立てた。検討の結果,水添大豆リン脂質,セラミド2,ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル(EO30)を一定の比率で組み合わせることで半透明かつ安定な化粧水の調製が可能であり,この化粧水は電子顕微鏡観察およびX線構造解析によりバイセル製剤であることが確認された。示差走査熱量測定の結果,バイセル製剤ではセラミドの結晶性が抑制されていた。また,セラミドを配合したバイセル化粧水の乾燥塗膜はラメラ構造をとることが,X線構造解析により明らかとなった。以上より,バイセルを用いることでセラミドを化粧水剤型に安定に高配合することが可能であり,得られた化粧水は肌上で閉塞性を発揮する可能性が示された。

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