2023 年 57 巻 1 号 p. 2-8
クセ毛に悩んでいる多くの人にとってチオグリコール酸塩と過酸化水素による還元・酸化反応による縮毛矯正技術は,その悩みの解消に重要な役割を担っている。しかし,還元,熱処理後の酸化過程で毛髪にはダメージが生じることがわかっている。この10年来,縮毛矯正技術に代わる新しい毛髪のクセ抑制技術が次々と開発されてきた。これらは,ヘアアイロンによる熱の力と特定の酸を機能性成分として活用することを特徴としている。それにより,ヘアサロンメニューに「酸・熱トリートメント」という新しいカテゴリーまで誕生した。その中でも,α-ケト酸,とくにグリオキシル酸(GA)を用いるタイプが市場で評価されている。その化学種からクセ抑制のメカニズムは架橋結合によるものとされているが,GAの作用機序についての報告はほとんど無く,生成される架橋の種類,ミクロ構造内の存在位置や架橋結合量のみならず,処理による毛髪構造自体の変化についても情報は無い。ここでは,GA/熱処理で得られた毛髪の特徴的な形態変化および強伸度特性からわれわれが考察したクセ抑制のメカニズムについて紹介する。