日本化粧品技術者会誌
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総説
香りの生理作用
─香りと眠りと体内時計─
合津 陽子
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2023 年 57 巻 4 号 p. 305-310

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抄録

世界的なコロナ禍の蔓延は,私たちの日常生活を激変させ,眠りの状態や体内時計にも影響を及ぼしていることが,国際的な調査によりわかってきた。たとえば,ストレスと関連した睡眠の質低下や,外出制限により生活が夜型化することで体内時計に不調をきたしていることなどが報告されている。眠りや体内時計は,私たちの健康維持とも大きく関わっており,その不調は,生活習慣病をはじめ,メンタル面での不調や疾病の一因となることから,眠りや体内時計を整えることは重要である。人類が眠りに香りを応用してきた歴史は古来エジプト時代にまで遡るが,近年の脳神経科学の発展は,その生理作用を良く説明するに至っており,新たな治療薬の開発も進められている。また,体内時計と嗅覚の関りについても調べられ,香りの新しい可能性もみえてきた。そこで本稿では,われわれが実証した香りによる体内時計不調改善効果を含め,香りが眠りや体内時計に果たす役割を概説する。

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