日本化粧品技術者会誌
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アシルグリシンの特性とその応用
新規アミノ酸系界面活性剤
塩尻 栄二佐野 啓吾小山 匡子伊能 正浩服部 達也吉原 秀樹岩崎 敬治川崎 由明
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1996 年 30 巻 4 号 p. 410-418

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抄録
新規アミノ酸系界面活性剤 (GCK; N-ココイルグリシンカリウム塩) の開発を行いその特性と応用について検討した。GCKは石鹸と比較して中性からアルカリ性領域で優れた泡性能を有する事が分かった。泡の弾力性を評価する指標としてビンガム降伏値を用いた。GCKを石鹸と混合することによりビンガム降伏値が相乗的に増加した。これはよりクッション性, 粘弾性に富んだ泡に改質されたことを示している。官能面では「さっぱり」しかつ「つっぱらない」という特性である事が官能評価で確認された。
GCKは石鹸より広いpH領域で溶解するが, これは液状洗浄剤を開発する上で好ましい特性である。また, 適切な粘度の配合品を調製する際に重要な要因である溶液のレオロジー特性を調べた。GCK溶液はNaClを添加する事で容易に増粘し究極的にはダイラタントなゲルを形成した。このゲル (GCK/NaCl=20wt%/10wt%) は25℃において偏光顕微鏡観察により液晶構造を形成していることが明らかになった。
ドレイズテストと5日間の連続ヒトパッチテストを行った結果, GCKは石鹸と比較して皮膚, 眼粘膜に対して共に安全性が高い事が確認された。
以上の結果よりGCKは優れた用途特性と特徴的な感触を有しており皮膚洗浄剤として好適の香粧品素材であると考えられる。
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