日本化粧品技術者会誌
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ヒポタウリンの一重項酸素消去活性
河野 善行山下 豊信片桐 千華高橋 元次
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1997 年 31 巻 4 号 p. 455-460

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抄録

来るべき高齢化社会において, 化粧品や医薬部外品は重要な役割を果たすと考えられているが, 我々は皮膚老化を防御する戦略として, 乾燥防御, 紫外線防御に加えて酸化防御を提唱してきた。本報告では, 特に酸化防御の重要性について論じた。今までに著者らは, CL-HPLCシステムを用いた皮表における脂質過酸化反応の検討から, ヒト皮膚においては一重項酸素がキーとなっている活性酸素種であることを報告してきたが, 本報告において, 皮表脂質とヒポタウリンの一重項酸素との反応速度定数を測定して明らかにした. さらに光酸化条件下において, ヒト皮表において第一の酸化ターゲットであるスクアレンの酸化防御効果をヒポタウリンが発現することを明らかにした。一方ヒポタウリンは, 哺乳類において含硫アミノ酸の代謝産物の一つであることが知られており, 皮膚, 眼球, 肝臓, 脳, 心臓, 血清中等でその存在が認められている。またその酸化ストレスへの生体防御機構としての存在意義も議論されている。皮膚において生体の酸化防御機構を再構築, 強化する有用性を化粧品における新たなコンセプトとして提案した。

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