日本化粧品技術者会誌
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鼻唇溝の形状解析によるたるみの評価方法
遠藤 菜穂子西島 貴史藤村 努森脇 繁武馬 吉則
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2001 年 35 巻 3 号 p. 219-223

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抄録

従来から, さまざまな方法でたるみの評価はなされてきたが, 微細な変化の定量化が困難であるという問題点があった。そこで今回, 写真スコアによるたるみの評価において, 基準の一つとなっている鼻唇溝の形状を, 70μmの面内精度をもつモアレ3次元解析装置を用いて測定し, 評価する方法を開発した。年齢とたるみスコアの正の相関を確認した10代-60代の健常女性118名を, モアレにより撮影し, 鼻腔直下を水平に切断したときの頬ライン (鼻唇溝の形状曲線) の一次微分曲線を求め, その鼻唇溝部分での最大値を用いてたるみの評価を行う可能性を検討した。その結果, 一次微分曲線の最大値は加齢と共に増加し, たるみスコアとも有意な相関を示したことから, 本法が実際の見た目を反映したたるみの評価方法として有効であることが示された。さらに, 顔面形状の個人差を考慮して, 鼻唇溝の鼻腔側の傾きを基準としたときの最大値 (傾きの変化量) を用いて検討した結果, 年齢, たるみスコアともより高い相関性を示した。以上のことより, 鼻唇溝の形状をモアレ3次元解析装置を用いて測定する本法は, 微細な変化を定量できるたるみの評価方法として有効であることが示された。

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