日本化粧品技術者会誌
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線維芽細胞増殖因子の調節により毛成長を促す研究
鈴木 聡太田 豊小沢 和夫今村 亨
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2001 年 35 巻 3 号 p. 231-236

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抄録

毛成長に影響を与える線維芽細胞増殖因子5 (Fgf-5) 遺伝子からは, FGF-5タンパクのほか, その切断体であるFGF-5Sも作られることが報告されている。われわれはこれまで, FGF-5が皮膚のマクロファージ様細胞に, FGF-5Sが毛包にそれぞれ局在することを明らかにし, またFGF-5陽性細胞は退行期に脂肪層に集まること, FGF-5S産生は成長期後半に上昇することも解明してきた。今回両タンパクが毛周期に与える影響を調べたところ, FGF-5は成長期毛の成長抑制と, 退行期の誘導を行う機能をもっていた。FGF-5Sは単独では機能しないが, FGF-5の退行期誘導活性を阻害した。したがってFGF-5陽性細胞は, 脂肪層においてFGF-5受容体を発現する毛乳頭周辺に集まるため局在変化をし, その結果退行期が誘導される可能性が示唆された。FGF-5Sは, 退行期が始まるまでFGF-5の働きを抑えるため存在するのであろう。われわれの結果は, 両タンパクのバランスに異常が生じたときに脱毛症がおこる可能性と, これらのタンパクを調節することにより有効な育毛剤が開発できる可能性を示している。

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