メークアップ製品の処方技術は, 複合化粉体のような機能性原料の開発を主として発展してきた。そのため製品の性能は高まってきているが, 肌との関係を考慮した研究はあまり報告されていない。われわれは, 肌と化粧膜の相互作用を物理化学的に調査するため, 固体表面間の付着性を評価できる, 表面自由エネルギー (SFE) に着目し, 肌とファンデーションに適用することを試みた。その結果, 肌の表面自由エネルギーは, 極性力成分γpが個々人に特有の値であった。また, 一般的な市販のファンデーションのγp値は肌の分布とは乖離しているため, 肌のγp値に近づけたファンデーションを開発することで, 肌上に安定で均一な化粧膜を形成することに成功した。このことから, ファンデーションは付着性を最適化することで偏在化しないことが示唆され, 従来のファンデーションより優れたメークアップ効果を示すとともに, 嗜好性において高い支持が得られることを確認した。