日本化粧品技術者会誌
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表面自由エネルギー制御によるメークアップ化粧品機能の最適化
豊田 剛正井柳 宏一毛利 邦彦中前 勝彦
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2008 年 42 巻 3 号 p. 218-225

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抄録

メークアップ製品の処方技術は, 複合化粉体のような機能性原料の開発を主として発展してきた。そのため製品の性能は高まってきているが, 肌との関係を考慮した研究はあまり報告されていない。われわれは, 肌と化粧膜の相互作用を物理化学的に調査するため, 固体表面間の付着性を評価できる, 表面自由エネルギー (SFE) に着目し, 肌とファンデーションに適用することを試みた。その結果, 肌の表面自由エネルギーは, 極性力成分γpが個々人に特有の値であった。また, 一般的な市販のファンデーションのγp値は肌の分布とは乖離しているため, 肌のγp値に近づけたファンデーションを開発することで, 肌上に安定で均一な化粧膜を形成することに成功した。このことから, ファンデーションは付着性を最適化することで偏在化しないことが示唆され, 従来のファンデーションより優れたメークアップ効果を示すとともに, 嗜好性において高い支持が得られることを確認した。

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