脳卒中の外科
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原  著
解離性椎骨動脈瘤に対するステントを用いた血管内治療
宮本 直子内藤 功高玉 真清水 立矢岩井 丈幸嶋口 英俊好本 裕平
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2009 年 37 巻 3 号 p. 184-191

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抄録

目的:解離性椎骨動脈瘤の治療は,血管内手技による母血管閉塞が第一選択の治療法であるが,虚血性合併症が問題となる.今回われわれは,血管内治療を施行した71例のうち,両側解離,対側の椎骨動脈低形成,後下小脳動脈(PICA)や前脊髄動脈(ASA)の血行温存などの理由からステントを併用した血管内治療を行った13例を検討した.方法:くも膜下出血発症が6例,虚血発症が4例,incidentalが1例であった.6例で解離部にPICAまたはASAがinvolveされていた.ステント併用瘤内塞栓術11例,ステント留置のみ2例であった.結果:ステント併用瘤内塞栓術を施行した11例のうち,1例で瘤内塞栓中に動脈瘤が破裂し,結果的に母血管閉塞となった.6例で動脈瘤の完全消失が得られ,4例でdome fillingであった.PICAまたはASAがinvolveされた6例では,ステントを併用し拡張部のみにコイルを留置することにより血行を温存できた.ステント留置のみの2例はfollow-upで拡張部の血栓化を確認した.虚血性合併症を1例に認めた.治療後,くも膜下出血をきたしたものはなかった.転帰はMRS 0-1が10例,3が1例,5が2例であった.結論:母血管閉塞により虚血性合併症の危険がある症例に対しては,ステントを併用した治療が有用と考えられる.PICAまたはASAがinvolveされた症例でもステントを併用し血行を温存できる場合がある.

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© 2009 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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