抄録
脳動静脈奇形 (AVM) に対しgamma knife (GK)による再治療を要した3例を報告した. 症例1: 16歳, 女性. 脳梁膨大部AVM. 症例2: 9歳男児. 橋AVM. 症例3: 14歳, 男子, 左側頭葉AVM. ただし年齢は初回GK治療時. 症例1と2ではGK治療後各々3年, 2年の脳血管撮影で病巣の残存を認め, かつその後2年の追跡でも見るべき変化を認めなかった. 症例3ではGK治療後3年後の脳血 管撮影で病巣の残存を認め, その残存部は初回GK治療の照射野からはずれていた. 以上の経過に基づきGKによる再治療が行われたが, 症例1と3では辺縁線量20Gy以上で照射可能であったが, 症例2ではAVMが脳幹に存在することから初回と同じ16Gyで照射された. 再治療後の脳血管撮影はまだ施行されていないが, 症例1と2では, 再治療後20か月以上を経てMRIとMRAが行われ, MRAでは異常血管は描出されず, MRI上病巣の閉塞を強く示唆する所見が得られた. 3例とも初回治療から6~9年を経ているが, 再出血はなく, また放射線障害も呈していない.
GK再治療の時期に関し我々は以下のように考えている. 1) 初回治療が“optimal”であった例では, 3年後の脳血管撮影所見にこだわらず, 病巣が少しずつでも縮小している限り, 再治療は更に2~3年は待ってよい. 2) 初回治療が“optimal”でなかった例では, 治療3年後でも脳血管撮影で残存病巣を認める場合には, その時点で再照射を考慮すべきである.