脳卒中の外科
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脳動脈瘤に対する内頸動脈結紮術施行後10年以上を経た2症例における各種画像診断所見
山本 昌昭神保 実井出 光信田中 典子梅原 裕小野 由子
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1996 年 24 巻 6 号 p. 457-464

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抄録

今日脳動脈瘤に対し, 頭蓋外頸動脈結紮術が選択される例は限られている. しかしながら, 本術式が全く歴史的なものとなった訳ではない. 本稿ではこの術式が行われて10年以上 (症例1は14年, 症例2は11年) を経過した2例における, 最近のCT, MRI, MRA, USなどの静的画像所見, およびSPECTやXe-CTなどの動的検査所見を報告する. ここに述べる2例では血管吻合などの血行再建術は施行されていない. 症例1は1937年生まれの女性. 1980年左視力・視野障害で発症. 左巨大内頸動脈瘤に対し総頸動脈結紮術施行. 1986年症状増悪かつ脳血管撮影で動脈瘤の増大を認め, 左内頸動脈結紮術施行. 視神経障害持続するも57歳の今日まで経過. 症例2は1916年生まれの男性. 1983年クモ膜下出血. 左内頸動脈瘤に対しclippingを試みるも, 技術的困難により左内頸動脈結紮術施行. 術後神経症状なく77歳の今日まで経過. ここに報告した2例に関する限り, 画像診断上, 動脈瘤の血栓化は10年以上を経た今日でも満足すべき状態にある. また動的検索でも結紮側での血流低下は著明ではなかった. 骨条件のCT上, 内頸動脈管径に左右差はなく, 後天的な内頸動脈径の変化では内頸動脈管には変化をきたさないことが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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