脳卒中の外科
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脳動脈瘤手術における内視鏡・超音波モニタリング
原 淑恵玉木 紀彦高石 吉将中村 貢
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1999 年 27 巻 2 号 p. 121-124

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抄録
脳動脈瘤手術において顕微鏡手術の支援システムとして内視鏡および超音波装置を用いた. 脳動脈瘤に対して開頭手術を行った6例(脳底動脈先端部1例, 内頸動脈後交通動脈分岐部3例, 中大脳動脈2例)を対象とした. 親動脈および分枝や穿通枝と動脈瘤頸部を露出後, ストレート型あるいは当施設の玉木が開発したアングル型硬性内視鏡の先端を動脈瘤頸部や親動脈の背側を観察できるように挿入し, アーム型固定器で固定した. 手術中は顕微鏡と内視鏡の両画面をモニター上に表示し, 観察しながらクリッピングを行った. クリッピング後は親動脈と分枝の血流をマイクロドップラーにて観察した.
アングル型内視鏡は手術操作の支障となることなく術中モニターが可能で, 顕微鏡の死角となる親動脈および分枝や穿通枝などを観察しながらクリッピングを行うことができた. そのため, 動脈瘤周辺での剥離操作を減少できた. クリッピング後にマイクロドップラーにて親動脈や分枝の血流が保たれていることを確認した. 1例では血流障害を認めたためクリップをかけなおした. 全例でネッククリッピングを行い, 合併症は認めなかった.
動脈瘤に対する直達手術の安全性を向上させるために, 内視鏡や超音波を使用したモニタリングは有効であった.
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© 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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