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寄稿「2018年J-SLA秋の研修会」
(裸)複数形限定詞句と第二言語習得:総称表現と可算・不可算の区別からの考察
クキ ギル
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2019 年 18 巻 p. 25-45

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抄録

本稿は, 裸複数形限定詞句(BP)と第二言語習得(SLA)研究において新たな研究の方向性を示すことができる言語現象について紹介する.名詞に関連した領域のSLA研究では, これまで主に冠詞や一致素性, 可算・不可算の区別などの比較的よく知られた領域に焦点を当て調査がされてきた.本稿では, これまでのSLA研究ではあまり注目がされていないBPの特性について検証する.まず, 総称表現として用いられる BPの習得について考える.総称表現としてのBPを調査することにより, L2学習者の語彙の意味制約に関する知識について明らかにできるだろう.次に複数という概念について考える.複数形は常に複数(1つ以上)の事物を指すのだろうか.近年の意味論研究では, 必ずしもそうでないことが指摘されている (Sauerland et al., 2005; Farkas & de Swart, 2010; Kane et al., 2015). Renans et al.(2018)に基づく研究を第二言語学習者を対象に行うことにより, 複数形限定詞句と可算・不可算の区別の第二言語知識についてさらに検証することができる.またこの研究によりSLAおよび複数形の母語転移についての理解をさらに深めることができることが期待される.

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© 2019 日本第二言語習得学会
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