物理探査
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論文
物理探査を用いた韓国Ulleung島近傍の沈没船Dmitri Donskoi号の発見
Hai Soo YooSu Jeong KimDong Won Park
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2005 年 58 巻 1 号 p. 104-111

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抄録

Dmitri Donskoi号 (1883年進水のロシア巡洋艦) は日露戦争に参戦中の1905年5月29日に韓国Ulleung島 (日本海) の近くで沈んだことが知られている。この船を見つけるために、その沈没位置に関する情報をロシアと日本の海事記録から得た。その船の沈没位置はおおよそ判明し、1999年から2003年まで5年にわたる物理探査が実施された。海底に関する三次元地形学踏査は、マルチ・ビーム音響測深器、海洋磁力計およびサイドスキャン・ソナーを使用して実行した。初期踏査により認識された異常体は、遠隔操作式無人有索探査船 (ROV) の深海カメラおよびミニ潜水艦『パスファインダー』を使用した詳細な調査によって確認された。得られたデータを解釈し、沈没船は海面下400mの急傾斜面に位置していることがわかった。その位置は、Ulleung島のJeodongから約2kmである。船の船体に残された152mmの艦砲、および他の戦闘資材が確認された。さらに、沈没時に燃上した操舵装置および他の機械類の残りが船体の近くで見つかった。調査エリアに分布する火山岩の強い磁性の影響を受け、磁気探査データから船の位置を正確に求めることはできなかった。船体のまわりの急峻な海底地形は、サイドスキャン・ソナー・データ中の反射波の拡散を増加させ、サイドスキャン・ソナーを用いた異常体 (船体) 検出を困難にした。それに対し、多重ビーム音響測深器を用いた探査では、探査船を最大限低速で運航したり、海底地形によりビーム角の調整行ったり等の工夫を行ったため、得られた海底イメージは船体位置の確認に非常に有効であった。

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© 2005 オーストラリア物理探査学会/社団法人 物理探査学会/韓国物理探査学会
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