物理探査
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ラピッドレター
  • 森本 光貴, 吉光 奈奈
    2026 年79 巻 p. 1-7
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/04/30
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,地震波のS波が異方性媒質を通過する際に速い振動成分と遅い振動成分に分離するS波スプリッティング現象を既存観測網の記録に適用し,地熱発電所の稼働に伴う亀裂系の時間変化を評価した。解析は秋田県山葵沢地熱地域を対象とし,Hi-net雄勝観測点で2006年から2022年までに取得された32個の地震速度波形を用いた。S波部分に対して相互相関法を適用し,最大相関値から速いS波の振動方向と,2つのS波の到達時間差を推定した結果,2011年東北地方太平洋沖地震の前後で速いS波の振動方向が2方向から広域応力場と整合的な1方向(N70°E-N110°E)へと集約される明瞭な変化を得た。一方,スローネスは10 km以深の深部地震において全期間を通じて安定しており,巨大地震が地殻深部の既存亀裂の配向の再編を導いたことを示唆している。地熱発電所周辺については,2019年の稼働開始を境に到達時間差の平均値が約40%減少するとともに,発電所直下の浅部地震を用いて推定されたスローネスは深部地震に比べてばらつきを見せた。操業3年時点では貯留層の物理状態に決定的な変化は見られないものの,深部地震と比較した際に地熱貯留層による亀裂構造の擾乱が検出された。

  • 白石 和也, 野 徹雄
    2026 年79 巻 p. 8-14
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/05/14
    ジャーナル 認証あり

     反射波の振幅や極性は,岩相の変化や地層流体の賦存状態を解釈するための重要な情報である。本研究では,波長と同程度の厚さの低速度層を挟在する場合の反射波応答について,一次元の数値実験によって改めて考察し,見かけ正極性の反射を生じる低速度層の条件を探る。波長と同程度の厚さの低速度層内で,インピーダンスが上端から徐々に低下し,下端で急増して元の値に回復するモデルの場合,負極性の反射は相対的に弱く,正極性の反射が顕著になる。また,入射波の周波数によって負極性の影響で反射波形が変化することを確認した。この数値実験の結果は,顕著な正極性の反射からは挟在する低速度層の存在を否定できないことを示唆する。そのような挟在層には,低周波数成分を含む広帯域のデータ収録,周波数毎に波形特徴を解析することが有効であり,層内の速度変化や波長に対する層厚との関係を考慮して解釈することが重要である。

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