物理探査
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論説
三次元反射法地震探査技術の進展がもたらす地質学,とくに堆積学分野へのインパクト
高野 修荒戸 裕之中西 健史松岡 俊文佐伯 龍男
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2006 年 59 巻 3 号 p. 225-231

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抄録

 近年の三次元反射法地震探査技術および三次元可視化技術の進展は,解析手法や概念の観点から,堆積学,構造地質学,岩石学,石油地質学などの地質学関連各分野に対して大きなインパクトを与えている。とくに堆積学分野に与えるインパクトは大きく,三次元地震探査技術によって,これまで推定を必要としてきた河川チャネル,開析谷,深海チャネル,斜面崩壊,海底扇状地,炭酸塩リーフなどの堆積体の三次元形態が詳細に復元可能になってきている。このような技術の進展に伴い,近年,三次元地震探査技術とシーケンス層序学の統合分野として,「seismic geomorphology」もしくは「seismic sedimentology」という新たな学問領域が生まれつつある。Seismic geomorphology の概念と手法は,堆積物の解析,三次元的な堆積過程の解析や定量的貯留層キャラクタリゼーションなどに広く適用されつつある。以上のように,三次元地震探査技術は,効果的,効率的な地球表層現象の解析ツールとして,今後の堆積学になくてはならない技術となるであろう。

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© 2006 社団法人 物理探査学会
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