物理探査
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論文
断層破砕帯における帯磁率異常に伴うγ線量の変化
吉村 辰朗大野 正夫
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2012 年 65 巻 3 号 p. 151-160

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抄録

 断層破砕帯において帯磁率測定を行なった結果,高帯磁率を呈する場合があり,その時に断層破砕帯では低γ線量を呈する場合もある。帯磁率を増加させる要因がγ線遮蔽効果の指標として用いることができるかどうか確かめるためにγ線減衰実験を行なった結果,帯磁率を高めるFeOの含有量が多い場合や細粒化が進んでいるほどγ線吸収量が多くなる現象が認められた。断層破砕帯におけるγ線量の減少の中には,断層破砕帯での帯磁率を増加させる要因によってγ線の遮蔽効果が顕著になった場合があると考えられる。帯磁率は,磁性鉱物の細粒化,磁性鉱物の増加,磁性鉱物の風化・変質によって変化する。断層破砕帯におけるγ線は,断層物質の磁性特性によって異常値の出現状況が変化すると考えられる。

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© 2012 社団法人 物理探査学会
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