静岡県東部に位置する富士川河口断層帯周辺地域での強震動特性を明らかにすることを目的として,同地域において臨時強震観測を実施し,強震記録を取得した。観測された記録から,周辺の硬質な地盤とのS波のスペクトル比を求め,その特徴を明らかにした。富士川河口部では,すべての周波数帯域でスペクトル比が大きい。とくに,0.2~0.8 Hzの周波数帯域の比は,富士川河口部の海岸沿いにある観測点で大きい。0.8~3 Hzの周波数帯域の比も河口部で大きな値を示すが,河口部の扇状地北端では小さい値の観測点もあり,空間的な変動が大きくなっている。一方,伊豆半島や駿河湾の西側の硬質な地盤上の強震観測点や山梨県の南側の観測点では,すべての周波数帯域でスペクトル比が小さい。各強震観測点において微動探査を実施し,表層地盤のS波速度モデルを推定した。深さ30 mまでの平均S波速度は,周波数0.8~3 Hzのスペクトル比と相関が高いことがわかった。