無人機は,陸・海・空の別を問わず,人の立ち入りが困難な領域での行動・作業等を可能にする重要なツールです。無人機と各種センサー・機械装置の融合により,様々な産業が無人化による作業効率化,コスト・リスク低減の恩恵を受けつつあります。特に近年,ドローンをはじめとする無人航空機市場は成長著しく,農業・防災・社会インフラ保全・採鉱分野等での無人航空機の活用が拡がっています。当学会においても,「無人機と物理探査の融合」には非常に高い関心を持っており,これまでに下記の取り組みを通じ,国内外の研究動向についての情報を共有・発信してまいりました:
○地球惑星科学連合大会 空中地球計測セッション(2014年~)
○和文誌「物理探査」:小特集「無人航空機を用いた空中計測」(2014年)
○英文誌「Exploration Geophysics」:Airborne Surveys and Monitoring of the Earth - Application to the Mitigation of Natural and Anthropogenic Hazards (2014年)
○ドローン物理探査研究会(2017年~)
本誌において小特集が組まれて以来,7年が過ぎようとしています。その間,無人機による物理探査技術は,継続的な技術革新の下,データ取得の効率性・精度を向上させるとともに,学術面・経済面で人類の知的好奇心をそそる成果が続々生み出されています。
本特集では,物理探査技術の無人化に関する要素技術の開発やその実装,無人機による探査技術がもたらす成果の現状と課題等,無人物理探査技術の最前線を概観することを目的としております。今回は,無人航空機(UAV)関連で4件(上田ほか,浅井,小山ほか,結城ほか),無人地上車両(UGV)関連で1件(佐竹ほか),自律型無人潜水機(AUV)関連で2件(笠谷,多良ほか)と,様々な無人機と物理探査技術の融合に関する話題を幅広く展開しています。本特集にご寄稿頂いた著者の方々に会誌編集委員会より厚く御礼申し上げると共に,読者の皆様におかれましては,物理探査技術の無人化,及びフィールド適用の推進のための一助になれば幸いです。