物理探査
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論文
海底浅層高分解能三次元地震探査技術に関する実証試験
寺西 陽祐齊藤 秀太郎塚原 均村上 文俊川崎 慎治小澤 岳史東中 基倫
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2022 年 75 巻 p. sp60-sp69

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抄録

 高分解能三次元地震探査(3D-HRS)の実証試験を,大分県別府湾の浅海域において実施した。GIガン(150立方インチ)と6本のショートストリーマーケーブルを曳航し,高密度観測システムとリアルタイム測位システムを用いて空間分解能の高い地震探査記録を取得した。構成された観測システムは軽量で,小型船舶からのケーブルの展開と揚収が容易であり,浅海域における効率的なデータ取得を実現した。3D-HRSデータ処理では,ノイズ抑制やフットプリント抑制など入念な反射法データ処理により高精細なイメージングが行われた。中でも,重合前のノイズ除去,ゴースト除去,多重反射波除去,およびフットプリントの除去が反射断面の品質を向上させるために重要な役割を果たした。既存の二次元地震探査断面と比較して,小規模な断層群をより詳細に可視化できており,既往成果の解像度をはるかに上回った。さらに,3D-HRSマイグレーションボリュームから,SimilarityおよびThinned Fault Likelihoodなどのサイスミックアトリビュートを算出し,断裂・断層などの地下構造の空間不連続性を効果的に抽出することができた。別府湾の実証試験結果から,3D-HRSシステムは海底面形状および海底下に潜在する小規模な断層や旧河道などを高解像度で可視化し,活断層系の断層ネットワークを詳細に把握できる能力を示した。

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© 2022 社団法人 物理探査学会
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