2022 年 75 巻 p. sp70-sp75
海洋開発や気候変動に伴う環境改変が,海洋環境,特に海底下の堆積物中の生物や環境に与える影響については,堆積物中を効率的にモニタリングするための手法が確立されていないという事情もあり,未だ不明な点が多い。本研究では,堆積物中の底生生物相や環境動態を時空間的に計測・評価するための技術基盤の構築を目指しており,それら海底下環境の可視化に向けた新しい音響計測システムの開発を進めている。本稿では,海底下浅層内の埋没物を高い分解能で検出することを目的として開発を進めている国産の音響計測システム(3次元音響コアリングシステム(設置型,中心周波数100 kHzの音波を利用)と音響モグラ(クローラー型,中心周波数500 kHzの音波を利用))について触れるとともに,それらを用いたフィールド実験(宮城県伊豆沼における水底下のレンコンの調査や静岡県筑波大学下田臨海実験センターなどにおける埋没物探査試験)の結果について紹介する。