社会経済史学
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産業革命への道 : 中世における「ヨーロッパの奇跡」の起源についての仮説と推論(大会特別講演)
ファン・ザンデン ヤン・ライテン戸石 七生崔 裕眞
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2009 年 74 巻 6 号 p. 535-556

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抄録

この講演の目的は,市場取引を規定する制度の効率性を利子率,スキル・プレミアム,市場の統合度など,様々な指標を用いて測定を行い,「大分岐」以前の数世紀における,ユーラシア大陸の各地域の制度の質についての問いに答えようとすることである。西欧では,中世後期から既に相対的によく発達した制度の一群が存在したように思われ,それとは対照的に,南アジアや東南アジアの諸制度は機能的な市場から程遠い段階にあった。しかし,17〜18世紀における日本と中国では比較的効率的な制度が生成され,これは相当高度な商業取引をもたらしていた。ヨーロッパが他地域に先んじた理由は中世後期に遡るが,論文の後半ではその説明に役立ついくつかの仮説が検討される。

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© 2009 社会経済史学会
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