社会経済史学
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ブルゴーニュ国家における財政システムの形成 : パネルの課題と意義(<第79回全国大会小特集>パネル ブルゴーニュ国家における財政システムの形成)
藤井 美男
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2011 年 77 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

本稿は,パネル・ディスカッション「ブルゴーニュ国家における財政システムの形成」における問題提起部分を成す。1980年代後半以降フランス学界を中心に「近代国家の生成」が多くの分野で議論される中,徴収と分配,都市・市民・国家といったテーマが,プロソポグラフィーやエリート論と関連づけられながら,経済史学上の関心を集めてきた。本パネルでは,中世後期西欧における「財政国家」の成立という視点から,南部の両ブルゴーニュ(公領と伯領)及び北部のネーデルラント諸邦によって,15世紀半ばまで接ぎ木的に形成されたブルゴーニュ国家(公国)を対象に,その財政制度と組織,領邦国家と在地権力との関係を,3パネリストの実証的な論考-トロワ市民(ニコラ・ド・フォントゥネ)の王国と公国の財政官僚としての成長追跡,公国中央財務官僚による製塩所(グランド-ソヌリ)経営への関与分析,援助金をめぐる君主権力とフランドル四者会議(3大都市と1農村)の関係性考察-によって明らかにし,「近代国家の生成」という大きなテーマへの貢献を図る。

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