社会経済史学
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戦後ドイツの国土計画と中心地論 : バーデン・ヴュルテンベルク州国土開発計画(1971年)の成立過程
山井 敏章
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2013 年 79 巻 2 号 p. 169-189

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抄録

第二次大戦後西ドイツの国土計画において,中心地論はその理論的支柱を成してきた。官庁や商業・文化施設などが集中する中心地自治体を全国に配置し,これによって分散的社会経済構造を維持・構築しようというのが中心地論の発想である。しかし,この中心地論に対しては,「上から」の中心地の指定は市町村の自治を侵害するものである,との批判がなされてきた。国土計画と地方自治の矛盾といういわば普遍的な問題を,ドイツはどのように解決しようとしだのだろうか。西南ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州が1971年に策定した国土開発計画の成立過程の検討を通じてこの問題に接近することが,本稿の課題である。同州では,1962年の国土計画法により,地方自治体のボランタリーな連合体である地域計画連合を地域計画策定の主体とする国土計画のシステムが構築された。しかし,「下から」の要素を重視したこのシステムは,ほぼ10年後,公法団体としての地域連合を核とするより「上から」のベクトルの強いシステムに組み替えられる。本稿では,中心地論に焦点をあてつつ,この組み替えのプロセスが検討される。

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