現代社会では,児童生徒の心身の健康の維持,増進に密接に関わる養護教諭,栄養教諭が,児童生徒との対人関係性発達に関する認識を持つことはとくに重要である。そこで,本研究では,養護教諭,栄養教諭の教職課程の履修段階にある学生による児童生徒との対人関係発達に関する気づきを調べた。初めに,「養護教諭の職務で重視したいこと」についての質問12項目に関する教職課程履修生の回答(小沢・上原,2013)に関する要因を分析した。抽出された4因子は,(1)「全校的保健活動」,(2)「看護に関わる活動」,(3)「特定の疾病に関する活動」,(4)「個人への保健活動の展開」だった。つぎに,栄養教諭教職課程履修生の気づきを,ロール・プレイング法を用いた学校現場の典型的な事例検討によって分析した。演技後の自由記述では,「栄養教諭の職務上で重視したいこと」に関する学生の気づきとして,「個々の児童生徒への丁寧な観察」,「カウンセリング・マインド」,「学級担任との連携」などが挙げられた。「養護教諭」と「栄養教諭」の教職課程履修生は,学校現場における個に対する教育的な活動の展開に努力しようとしていることが示唆された。
