抄録
近年,都市域において人間活動やエネルギー消費の増大,土地被覆状況の変化などが大きな要因となり,都市気候と呼ばれる様々な現象が発生している。その顕著なあらわれとして,郊外に比べ都市中心部の気温が下がらない「ヒートアイランド現象」がある。筆者らはこれまで,熊本市の気温分布に関して,1980年から約10年おきに自動車観測や小型温湿度計設置による観測を実施し,土地被覆状況の変化との対応やヒートアイランド現象の変化などについて研究してきた。本報では,GPS 機能を搭載した気温データロガー(以下,GPS 温度計と称す)を使用し,熊本市内と八代市内での気温分布観測を実施したので,2012年夏季の結果について報告する。さらに,熊本市中心部に位置する尚絅大学九品寺キャンパスと郊外に位置する楡木キャンパスでの約2年間の気温と湿度の計測結果から,両キャンパスの温湿度の比較を行う。